バイク用シートバッグの失敗しない選び方(と装着方法)

ドッペルギャンガーのツーリングバッグ人気アンケートでも1位シートバッグ(52.2%)、2位サイドバッグ(29.3%)、3位タンクバッグ11.1%という結果が出るくらい、みんな大好きシートバッグ。装着しやすく荷物も積みやすいので、初めてのバイク用バッグに「とりあえず・・」という人も多いはず。しかし、ツーリングで見かけたことありませんか?ぐらぐらのシートバッグを。

今回は、そんなシートバッグの失敗例からはじめて、購入前のチェックポイントを見ていきます。シンプルだから知っておきたいシートバッグのお話です。


見たことあるっ!ひと目でわかる失敗例


ツーリング先で見かける「ちょっと危ない」シートバッグ達。ツーリング仲間から教えてもらって初めて気がつくことも多いですよね。本人が危ないだけでなく、周りの車両に不安を感じさせてしまうことにもなる失敗例です。

あるある1:傾いている

シートバッグ中心がズレて傾いているケース。高速道路で、後方の車がすごく距離をとっていたり、大げさに離れて追い越してくる場合は、シートバッグが傾いているかもしれません。一度傾き始めると、中の荷物もだんだんと偏ってきて、さらに傾きが大きくなるので休憩毎のチェックは欠かせません。

あるある2:緩んでいる

外れてはいないものの、固定用ベルトが走行中に緩んで、シートバッグが前後左右に動き、ひどい場合には上下に跳ねることもあります。走行による振動でベルトが徐々に緩んでくる場合と、もともとの締め方が適切でない場合に起こります。

あるある3:重ね積みしすぎ

バッグに入りきれないからといって、重ね積みのしすぎは危険です。荷物の重心は高くなり積むほどに崩れやすくなっていきます。また、このような積み方は「スキマ」が多くなるため、しっかりとネットで固定したつもりでも、走行中にスキマが変形して不安定になっていきます。


失敗しない購入前のチェックポイント!!


失敗しないためにチェックするのはシートバッグじゃなくてバイク。まずはじっくりと自分のバイクを観察しましょう。お店にいけば沢山のシートバッグがありますが、実はバッグ自体には付けやすい付けにくいはそんなにありません。もし付けにくいとしたら、それは自分のバイクに付けにくいバッグを選んでしまっているのかもしれません。

シートはどんな形をしているのか?

シートバッグを乗せるリアシートはどんな形をしているでしょうか。前後一体型の厚みのあるシートなのか、スポーツバイクに多い前後分割型の薄いシートなのか。特に座面が狭くシートの傾斜がきついスーパースポーツに大量の荷物を積みたい場合は、最初から割り切って専用リアキャリアを用意するのも方法です。「積載装置」となるリアシート部分の長さと幅を測っておくと、シートバッグ選びの参考になります。

どこに固定できるのか?

次にどこ固定できるのかを確認します。シートバッグは基本的に4点固定式です。大きく分けると「リアシートに固定ベルトを挟む」「車体のフレームなどに直接ベルトを接続する」2タイプの装着方法に分かれます。シートに挟む場合は、カウルとシートにベルトが挟めるだけのスキマがあるか、シート下のラッチがどこについているかをチェック。フレームに直接固定する場合、特に注意したいのは「後方固定できるかどうか」。バッグ前方は車体フレームやタンデムステップステーなどがあるため、ほぼ問題なく固定できるでしょう。しかし後方固定ポイントは純正のステーがついていたとしても要注意。ベルトの接続には適切な角度と距離が必要だからです。フェンダーレスカスタムをしている車両は「どこに固定が可能なのか」をよく確認しておいたほうがいいでしょう。

何を入れたいのか?

前述の「どんな形をしているか?どこに固定できるか?」がチェックできていれば、まずはOKです。あと、バッグを選ぶ前に何を入れたいのかも検討しておくといいです。例えば一眼カメラを入れたいのなら、衝撃吸収力の高いインナークッション厚めの、中型までのバッグが適しているといった具合です。ただし「大は小を兼ねる」で大きめのバッグを選ぶのは避けたほうといいでしょう。使いにくいのを我慢したり、追加の固定具をあれこれ買ったりするのなら、用途に応じて2つ買うほうが結果的にコスパがいいはずです。


装着方法は2パターン


前述のようにシートバッグは基本的に4点固定式です。選べる容量にも関わってくるので、メリット・デメリットを確認しておきましょう。

リアシートに固定ベルトを挟む系

出典:https://www.tanax.co.jp/motorcycle/product.php?goods_id=7075

小型から中型のシートバッグに多い固定方法。簡単でスッキリ装着できるのが一番のメリット。リアシートさえあればスーパースポーツでも装着できます。一方でベルトの構造上、シートの形とポジションによってはベルトのテンションが逃げやすいので、安定するポジションをしっかりと見つけてあげましょう。そんなに大容量ではないので多少ズレても外れる心配が少ないのもメリットの1つです。上記画像は皆さんご存知MOTOFIZZの「シートシェルケース」。オリジナルのKシステムベルトは秀逸。

車体フレームに固定ベルトを接続する系

出典:https://www.daytona.co.jp/products/single-96719-parts

25L以上の中型から大型シートバッグはほぼこの固定方法。バランスよく接続ができれば高い固定力を発揮します。その反面、接続箇所がちゃんと確保できない場合は、適正なテンションが保てず走行中に緩んできてしまいます。また、大型シートバッグは重心も高く重量も重くなるため、走行中に発生する反動も大きくなります。沢山の荷物を積めるメリットの裏返しとして、操安性の低下や荷物脱落のリスクも上がりやすいということを知っておきましょう。適切な接続箇所がない場合は、プレートフックなどのパーツを使うと接続箇所を増設できます。こちらも皆さんご存知HenlyBeginsの「ツーリングシートバッグ」。


シートバッグ装着時のチェックポイント


ここまで、装着の失敗例や購入前のチェックポイントなどを確認してきました。ここでは装着時に確認すべきチェックポイントを紹介します。

均等にテンションがかかっているか?

バッグは4本の固定ベルトからかかるテンションの真ん中にあるのが理想です。4本のベルトを引っ張ることで、シートバッグの中心から真下に押さえつけたいからです。もし、バランスの弱い1本があれば、シートバッグは他の強い3本のほうにズレていきます。固定ベルトは一気に締め込むのではなく、4本を少しずつ締めそれぞれのベルトのテンションが均等になるようにしましょう。

背中に当たっていないか?

シートバッグ装着後、適正なポジションで固定できているか実際にまたがって確認してみます。このとき、いつもと同じ乗車姿勢が取れるのであればOKです。バッグが背中に当たるのは、背中に背負っているのと同じようなものです。リアシートから大きくハミ出て、背中におぶさるように当たるのであれば、装着位置を見直す必要があります。積んだ荷物で背中が伸びてしまったり、必要なだけ腰が引けないのもNG。

ズレてこないか?

ベルトの均等なテンションと背中への当たりが問題ないことを確認できたら、仕上げに荷物を入れて実際にテストしてみましょう。もし適切に装着出来ていないのであれば、すぐにシートバッグがズレてくるはずです。(※空荷だとわかりにくいので、容量の半分以下でいいので荷物を入れましょう)固定したつもりのシートバッグがズレてくる原因は、固定した場所が悪いためです。ツーリング本番で、面倒な思いをしなくていいように事前に「もっとも安定する場所」を確認しておきましょう。


おまけ:中の人達のホントに所有してるシートバッグ


自社製品は紹介しないのか?ええ、もちろん好きですよ。愛してます。でも他社製品も素晴らしい。人に作ってもらう料理って美味しいじゃないですか。最後にドッペルギャンガー中の人達の私物シートバッグの簡易レビューをお届け。

RS TAICHI:ラージシートバッグ.32

出典:https://www.ec.rs-taichi.com/rsb313-1.html
基本的な使いやすさはもちろん、サイドの成形パネルやフックなどが、いちいちカッコいい。悔しいがカッコいいから仕方ない。オクタフレックスベルトは確かに「フレックス」で、どうとでも装着できる。センタープッシュリリースのバックルなので操作も簡単。強いて難点を挙げるなら、成形パネルなので折畳んで保管はできない。※オーナー談:取砂 九百夫

Henly Begins:ツーリングシートバッグ

出典:https://www.daytona.co.jp/products/single-96719-parts
質実剛健という表現がピッタリだッ。デイジーチェーンがいっぱいあって、カラビナも着けたい放題ッ。ガッチリしたワイヤーと、マッチョなボードで、ビタッと固定してみせらぁ!でも雨だけは勘弁なッ。※オーナー談:須久 蘭武羅

GOLDWiN MOTORCYCLE:ツーリングリアバッグ32

出典:https://www.daytona.co.jp/products/single-96719-parts
ツーリングのお土産分が増やせる、25Lから32Lへの容量拡張が最高です。バッグの上からも横からも荷室にアクセスできるので、荷物を探したり、スキマに押し込んだりするのもやりやすいですね。Xベルトで着脱が簡単なので日帰りツーリングに重宝します。※オーナー談:葉矢武 茶 

DOPPELGANGER:キャンプツーリングシートバッグ

出典:https://www.doppelganger.jp/product/dbt523-bk/
一応、自社製品ももってます。愛してますから。拡張すると80Lになる超移動要塞バッグ。積載時の重量を受け止めるために、固定ベルトは4本から6本に増加。パッキングスキルと、装着スキルが同時に試されるキャンプ用シートバッグ。出番は年に数回しかないけれど、コレじゃなきゃダメな時がある。※オーナー談:山久丸 男爵


まとめ


今回はシートバッグにフォーカスして、安定した装着のカギとなるチェックポイントを購入前から装着時まで確認してきました。滑り止めシートの利用や自作簡易キャリアなど、工夫を前提とした要素にはふれず、「バイクとシートバッグだけ」にしました。工夫を前提にするなら装着できないバッグはないからです。そのために、道具を買い足していくのも悪くはありませんが、ここで見てきたチェックポイントを知っていれば不要な買い物はしなくて済みます。急がば回れ。シートバッグ選びで失敗しないためのポイントは、自分のバイクをよく観察することでした。

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